
第四資料室は、公的機関の内部に設けられた記録保管区画である。扱うのは、期限を過ぎた報告書、再調査の予定が立たなかった事案、そして再発が確認されなかった現象。表向きには、焼却処分を前提とした最終保管室とされている。
しかし、すべての記録が整然と終わるわけではない。位置は一致しているのに時間がずれている事例。存在したはずの分岐が、地図上から消えている報告。居住地を失った者の証言。現象は収束したと結論づけられているが、その理由がどこにも記録されていないことがある。
第四資料室の任務は、真相を解明することではない。あくまで記録を整理し、保存するか、焼却棚へ戻すかを判断することにある。調査は終わっている。だが、終わったことになっているだけかもしれない。報告書の余白には、時折、消されなかった違和が残る。
そこに綴られるのは怪異ではなく、揺らぎである。世界の輪郭がわずかにずれた痕跡。その痕跡を、誰にも気づかれぬよう綴じる場所。それが第四資料室である。
※本報告書の詳細は刊行物として公開している。
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第1号 「三つの由来」
第2号 「四皇子塚の御神渡」