
第四資料室。そこは、保存期限を過ぎた公的記録に「生」か「死」かの引導を渡す、公表されない埋葬地だ。
今回は阿蘇の無人駅、始発前の待合室で石斧が見つかった。
文化財担当ではなく総務課から第四資料室へ届いた照会は、どこか最初から筋が違っていた。
廃棄棚を探るうち、江戸末期・明治・昭和初期にわたり、阿蘇の原野で「正体不明の者」が目撃されていた記録が現れる。
言葉は通じず、だが意思疎通は可能。
危険性は認められず、保護にも応じず、ただ原野を離れない。
そして昭和の記録には、奇妙な一文が残っていた――「始発を待つ旨の発語アリ」。
警察の要請で現地へ向かった第四資料室の担当者は、始発前の待合室で草の匂いと不可解な気配に遭遇する。
阿蘇の原野から駅へ現れる「そこにいるもの」とは何か。
記録だけが、その存在を知っている。
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