歴史研究会 【研究ノート4】宇佐八幡成立期における大神氏の顕在化について
宇佐八幡成立史を考える際、宇佐氏と辛島氏に比べて、大神氏だけがきわめて捉えにくい。宇佐氏には『日本書紀』神武紀の菟狭津彦・菟狭津媛という神話的祖形があり、辛島氏にも豊前国における秦系勢力の痕跡や関連神社をたどりうる余地がある。これに対して大神氏は、後代には大宮司家として重い位置を占めながら、創建以前の同時代的痕跡が薄く、対応神社も曖昧である。この不均衡は、単なる史料散逸として処理するより、大神氏の成立・前面化の仕方そのものを示す可能性がある。