歴史研究会 【研究ノート26】邪馬壹国の場所
『魏志倭人伝』の記事配列を見ると、卑弥呼の時代にすでに狗奴国との不和と交戦があり、その後に卑弥呼の死、男王擁立、国内混乱、壱与擁立へと続く。ここで重要なのは、卑弥呼の死後に女王国側が大きく揺らいだにもかかわらず、関係全体が決定的に反転したようには見えないことである。もし狗奴国が邪馬壹国に匹敵する近接大国であったなら、卑弥呼の死後の混乱は最大の好機だったはずである。だが、史料の前面に出るのはむしろ女王国側の内部動揺であり、狗奴国が一挙に秩序を奪った姿ではない。この一点だけでも、狗奴国は邪馬壹国連合に比肩する巨大国家ではなく、外側から圧力をかけ続ける境界勢力だった可能性が高い。